方向性は理解しつつも中長距離値上げの懸念を言及
内閣府の消費者委員会(以下、委員会)は11月30日、公共料金等専門調査会(以下、調査会)を開き、「一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組み替え案」(以下、運賃組み替え案)について、意見書案をまとめ、公表した。
委員会は、各種の消費者問題について調査・審議を行い、消費者行政に対して意見を挙げる独立機関。
11月1日に消費者庁長官から運賃組み替え案について意見を求められ、調査会が11月2日に国土交通省及び一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会から、また11月9日には学識経験者及び消費者団体からヒアリングを行った。
意見書案では、運賃組み替え案の方向性は理解できるとしたものの、約4km以上の中長距離運賃を値上げする必要性が明白でない、としている。そして、運賃組み替え案の実施にあたっては、事後検証や、中長距離利用者への対応等を行うよう、国土交通省に求めている。
調査会では、国土交通省の対応等について、運賃組み替え後にあらためて状況を検討する。
乗務員の労働環境にまで踏み込む提言
また意見書案では、留意事項としていくつかの提言を挙げている。
消費者保護の観点では、運賃組み替えについて消費者の理解を促すことや、値下げとなる短距離を利用する乗客に対するタクシー乗務員のマナーの維持、消費者の意見をサービス向上につなげる地域協議会等の設置、を提言。
さらに、非効率な経営を行う事業者のタクシー事業からの撤退は妨げない、としながらも、今回の運賃組み替えでタクシー事業者の経営が圧迫されることへの懸念を示した。
事業者の経営が圧迫されることで、タクシー乗務員の労働環境が悪化したり、サービスの質や安全性の低下につながったり等、悪影響が及んでいるか、運賃組み替え後の検証を行うべきである、としている。
(画像は内閣府ホームページより)

第24回 公共料金等専門調査会
http://www.cao.go.jp/意見(案 PDFファイル)
http://www.cao.go.jp/