運転者の労働環境や健康状態が事故に直結する
国土交通省は8日、バスやタクシーなどの自動車運送事業に従事する運転者の労務・健康管理の改善を図り、特に運転者の健康診断の受診について遵守状況の確認を強化すると発表した。
これは、今年平成28年1月に発生した軽井沢スキーバス事故を受け、6月にまとめられた総合的な対策を踏まえてのことだ。
軽井沢スキーバス事故では、運転者が過労による居眠り、あるいは突然の心臓疾患などによって運転不能状態に陥ったことが事故原因とみられている。これにより、バス会社における運転者に対する過酷な労働環境や健康管理のずさんさが浮き彫りになった形だ。
タクシーは人の命を運んでいるとしっかり自覚して
タクシー運転者の場合、バス運転者ほど長距離の運転を連続的に行うことは珍しく、運転者自身が適宜休息をとりながら運行に当たるなどの対応が可能だ。
しかし、たとえば突然の心停止に陥る心臓疾患や、また本人が自覚しにくい睡眠時無呼吸症候群などによる突然の眠気などは、運転中の大事故を引き起こす可能性が否めない。これらの疾病については、やはり定期的に健康診断を行い、運転者自身はもちろん、事業者側も運転者の健康状態を常に把握しておくことが非常に重要になる。
そして当然のことながら、過酷な労働環境においては、運転者の集中力や注意力の低下を招き、それによって事故が誘引されることも珍しくない。運転者自身も、そしてタクシー事業者も、通報などによって監督機関から指導を受ける前に、自らが安全のためにしっかりとした労務管理や健康管理を実施したいものだ。

国土交通省プレスリリース
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