公定幅運賃のうち下限運賃を見直して実質値下げ
国土交通省東北運輸局は24日、青森交通圏におけるタクシーの公定幅運賃範囲の見直しを発表した。今回見直された公定幅運賃では、上限運賃は現行そのままだが、下限運賃がいずれも下げられており、実質的な運賃値下げにつながるとみて間違いない。
さらに、これまでは初乗り距離1.5kmに対してのみ公定運賃幅が設定されていたが、今回青森交通圏では初めて距離制運賃も導入された。これは、初乗り距離を1.1~1.3km程度に短縮し、それに応じた料金設定を新たに設けたものだ。
同局では、今回の措置はタクシー利用者の利便性向上の観点から実施したとしている。しかし、同交通圏内には現行の公定幅運賃の下限を下回る運賃設定で営業しているタクシー事業者もすでに存在しており、現状を追認した格好だ。
初乗り距離を短縮した新しい料金設定で需要拡大を
具体的な変更点をあげてみると、たとえば中型車の場合、現行の公定幅運賃では初乗り距離1.5kmに対し上限運賃が670円、下限運賃が630円となっているが、これを上限運賃はそのままに下限運賃を590円まで下げている。加算運賃も、下限運賃については現行の307mにつき90円から、328mにつき90円と、微妙に値下げされている。
そして今回導入された距離制運賃では、これも中型車を例にあげると、下限運賃では初乗り距離を1.172kmに短縮し、料金は500円という設定になっている。これにより、いわゆる「ちょい乗り」需要が掘り起こせる可能性も高まる。この青森交通圏の新しい公定幅運賃は、平成28年9月23日より実施される。
現在、東京交通圏においても、初乗り距離を短縮することでより安価な料金設定を実現するという方向でタクシー運賃の改正が進んでいる。この方向性は今後、全国に広がっていくのではないだろうか。

国土交通省東北運輸局プレスリリース
http://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/jk/