ハイブリッド車のブレーキと似た仕組みで制動
アウディは8月10日、燃費と快適性能を向上する革新的なサスペンションを開発中であることを明らかにした。
ニュースリリースによれば、従来の伸縮ダンパーに換わる衝撃吸収装置で、アウディは「eROT」と呼ぶ。
衝撃吸収を油圧式でなく電気的に行うことで、サスペンションの概念を大きく変えることになる。
油圧式ダンパーでは、衝撃を制動する慣性エネルギーは最終的には熱エネルギーに変わり、大気中に放出される。「eROT」では、ハイブリッド車のブレーキ等で使われている「回生」という仕組みで、この慣性エネルギーを電気エネルギーに変換して、バッテリーに蓄電させる。
これまでのテストでは、100km走行あたり0.7リットルの節約効果と同等であると報告されている。
「eROT」は48ボルトで動作する。アウディの2017年モデルから採用される次世代電気系システムは48ボルトとなるため。現行のハイブリッド車の駆動用バッテリーシステムと組み合わせる場合は、電圧を変換するコンバータを装備する。
サスペンションの堅さを変えられる?
「eROT」は快適性能の向上にも貢献する。
一つは、車内やトランクといった荷室空間を広くできること。
伸縮シリンダがあるために垂直に長い形状であった従来のサスペンションシステムでは、荷室空間を圧迫していた。一方、「eROT」では伸縮シリンダがなく、システム全体を横に配置できる。このため、このため、ボディ下に水平方向に置くことができ、荷室空間の底面を従来より下げることができる。
もう一つは、走行時の乗り心地に関連するサスペンションの“堅さ”を変えられること。
「eROT」では、ソフトウェア制御でダンパー特性を変化させることができる。このため、例えば乗り心地に大きく影響する「縮み側」ストローク、つまり路面の凸面をタイヤが踏んだ時に働くダンパーの特性を、「伸び側」ストロークよりやわらかく設定することができる。
この「eROT」の技術が実用化され普及が進めば、節約志向と乗り心地の両方を重視するドライバーにとって、より魅力ある車が数多く登場することになるだろう。
(画像はプレスリリースより)

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