突然のアカウント停止から復活
突然ウーバーのアカウントを停止され、アプリ上での仕事ができなくなったシアトルのウーバードライバー ピーター・クエルさんは、ウーバーのプラットフォームに再度アクセスできるよう支援してくれた仲間のドライバーとチームスターユニオン(個人が加盟可能な合同労働組合)とに感謝を表明した。
ウーバーテクノロジー社 VS 労働組合
2016年2月10日、クエルさんは何の通知もなしにウーバーのアカウントを停止された。クエルさんは問題解決のためにシアトルのウーバーテクノロジー社のオフィスを3度訪問したが明確な回答を得られなかった。
そこでクエルさんはチームスターユニオンに助けを求めた。チームスターユニオンは即座にApp-Based Drivers Association(ABDA)の専門家、チームスターユニオンのスタッフ、市議会議員の代理人をクエルさんと共にウーバーテクノロジー社のオフィスに向かわせ、いくつかの書類を提出し、2月19日にクエルさんのアカウントを復活させた。
アカウント復活にあたり、ウーバーテクノロジー社からクエルさんに届いたメールには、過去3年間に3回発生した他責事故を理由としてアカウント使用が保留になったこと、そして、提出された書類により再評価を行った結果、可能な限り速やかなアカウント復帰を決定したこと、が記載されていた。
組織やチームがあれば泣き寝入りする必要はない
クエルさんに何の理由も伝えずアカウントを停止した際、ウーバーテクノロジー社がクエルさんに回答したのは、アカウントを不適切に無効化されたドライバーの類似ケースとして処理する、ということだけだった。
”ウーバーの担当者は、誰か同じようにアカウントを無効化されたドライバーを知っていたらここに来させて欲しい、と言ったよ。俺は、それは大変結構なことだ、と言うしかなかったね。”とクエルさんは語った。”ピーターが経験したことは特殊なケースではなく全国で繰り返し発生していることです。”とチームスターユニオンの調査官ジョン・セーシーさんは語った。
IT企業だけタダ乗りOK?
ウーバーテクノロジー社のサービスは、車と免許さえ持っていれば空き時間にお小遣いが稼げる、という手軽さから急速にアメリカ社会に普及し、今ではドライバーにとって生活を支える社会インフラになりつつある。今回の事例が特殊なケースではなく一般的なのであれば、アメリカではウーバーテクノロジー社とドライバーの関係が雇用・被雇用の関係として扱われているように見える。一方的なアカウント停止を不当な解雇とみなし、労働組合を通じて解雇の取消しを勝ち取った、という構図である。
ウーバーテクノロジー社とドライバーが雇用・被雇用の関係であるとするなら、将来的にドライバーの社会保障費や福利厚生など世の中の事業会社が当然のように負っている雇用コストについて、ウーバーテクノロジー社などアプリベースのIT企業だけがタダ乗りでいいのか?という議論に発展する可能性がある。
(画像はプレスリリースより)

Seattle Uber Driver Wins Reinstatement, Credits Community, Teamsters
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